ガンッ!!

「いってぇッ!!」

急に頭に激痛が走る。
鈍い音が脳髄に響き渡り、さらに痛みを増す。
ベットのふちに頭を打ったらしい。
涙の滲む視界の先にいたのは、克哉だった。

「馬鹿か、お前は」
「う、うるせ・・・・痛ぅ・・・」

頭を抱えてベットでうずくまっていると、克哉の手がそっと頭に触れた。
撫でる様な、さする様な。そんな感じの動きで痛みを宥められる。
克哉は酷く優しい目をしていて、今にも泣きだしそうだった。

「克哉・・・?」

怪訝に思い問いかけると、瞬時にその目が怒りに変わった。

「お前、何回俺を抱いた?」

睨むような視線が痛い。
ていうか、抱いた・・・・・・って。

「さん、かい・・・です」
「一回目まだ動くなって言ったよな?」
「はい・・」
「言った3秒後に動いたな、お前」
「す、すいませ・・・・」
「しかもこんな目立つ所に痕付けやがって」

ちらりと視線を向けたそこは、うなじの横、Yシャツを着ても見えてしまう位置。
そこらには赤い斑点がちらほらと舞っている。
全部、本多がつけたもの。
今になってもその朱は官能的で、思わず心臓が高鳴った。

「お前が煽るからだろ?」
「俺は何もしてないだろ。お前が急に襲いかかってきたんだ」
(まぁ・・・確かにそうだけど・・・。)

だが、何となく納得いかない。
別に、本多一人が悦んでいた訳じゃないのは、克哉自身が知っているはずだ。

「お前だって痛がってたの最初だけじゃねえか!あとからあんなに・・・」
「言うな馬鹿!犯すぞ!」
「ぅわっ、ごめんなさいっ」

まだ眠気が飛ばない中、ぼやっと克哉の喘ぐ姿を思い出す。
が、頭に浮かぶのはあの赤い絨毯の上の淫らに本多を誘う克哉だった。

(あれ、夢・・・だよな)

ぼうっと考えていると、突然視界に克哉が入ってきた。

「本多」
「ん?」

珍しく克哉が顔を赤くしてるものだから、こっちも身構えてしまう。
その瞳が、重大な事をこれから言う、という時の克哉の瞳と同じだ。


「誕生日、おめでとう。愛してる」